駿河台の記者たち㉛

駿河台の記者たち[31]

長瀬千年・作

 

国会突入

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 編集会議から広告取り、新聞製作の立会いから販売まで、中大新聞の10日間ごとの作業をひと通り体験した新人たちは、各担当部署ごとに本格的な取材活動に組み込まれた。

 自治会担当の志朗と玉川は、2年生の今図にくっついて自治会室へ。3号館校舎前の道路を挟んだ、木造2階建てである。学生生協が入っており、その一角の1階手前が昼自治会。その奥が夜自治会だった。
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フォントのススメ

大学生になってパソコンで文書を作る機会が増えた、と感じた経験はないだろうか。Wordを使用してレポートやレジュメを作成する場合や、PowerPointを使用したプレゼンのスライド作成など、考えられる範囲は広い。また、サークルや所属団体によっては、ポスターや告知の書類を作る可能性も考えられる。
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ソシャゲへの課金が身を滅ぼす?

読者の皆さんは、空いた時間になにをするだろうか。筆者が友人や兄弟に同じ質問をしたところ、回答の大半は「スマホのゲームアプリをしている」というものだった。現在、スマートフォンのアプリは数えきれないほどリリースされており、スマートフォン利用者やタブレット端末利用者であれば一切アプリを利用しないということはないはずだ。 Read more

駿河台の記者たち㉚

駿河台の記者たち[30]

長瀬千年・作

 

中央大学新聞

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 お目当てのビア・ホールは、〈ミュンヘン〉と言った。実は志朗がアルコールを口にするのは、この時が2度目。中学以来の友3人が東京の大学受験で合格したので、その1人の歯科医宅が祝ってくれ、親元を離れる子に自立の覚悟を~と、ビールを出された。志朗は恐る恐る口を付けたが、苦くて飲めなかった。その時、「こんなもの、2度と飲むものか]、と強く心に決めていた。
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駿河台の記者たち[29]

長瀬千年・作

 

中央大学新聞

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 午後はこんどは工場で、活版のおじさんと1ページずつ大組である。活字は逆さ文字だから読みにくいはずなのに、優内編集長らベテランは、用意した紙面割の設計図をおじさんに見せ、まるで逆さ文字が読めるかのように、見出しの位置や記事の流れ具合を手際よく指示して見せた。
 志郎を除く新人たちは、不思議な顔で見守るばかりである。

 組み上がった大刷りを1ページずつ丹念に校閲したら、あとは印刷部門任せ。午後4時ころ、高速輪転機から最初の刷り出しが出てきた。刷られた新聞は、まだ生温かい。優内らが見出しや写真に間違いがないか、その場で開いて最終点検する。最後に優内が指示した。

「ご苦労さん。あとはタクシー2台に分乗して運ぼう。残りの人は一緒に、都電で会室へ戻って」
 新聞の梱包は、工場出口で6個渡された。毎号6千部を刷っているという。志朗らがタクシーで会室に着くと、午後5時すぎだった。

「よし、新聞の販売はあすにしよう。きょうは皆で、ビールを飲みに行くぞ」
 伊沙山の声に、朝から工場で働いた新人たちに、笑顔がこぼれた。
「ちょっと待って。その前にあすの立ち売り用のポスターだけ、書いておくから」

 伊田取材部長が、墨汁を出して大紙にさらさらと書き出した。
〈中大新聞5月5日号/本日発売/1部10円〉
 その新聞の宣伝文句は~。

① 由木村校地買収・約33万平方㍍、大学発展へ遠大な計画
② [安保阻止]昼自=13日国会へ/夜自=14日授業放棄へ
③ 李承晩独裁政権・崩壊の教訓~大原光憲(法)助教授
④ 私の研究(外交史)~田村幸策(法)教授

 トップ記事の〈由木村の校地買収〉は、それから18年後の1978年に、八王子市に大学ごと移転する多摩キャンパスである。この時、大学は初めて村と第1次契約を終えたのだ。志朗はもちろん他の学生も、よもやこの土地へ中央大学がそっくり移転するとは、想像さえしなかった。

 さて、ビール会である。全員が御茶ノ水駅から電車に乗った。有楽町駅で降り、朝日新聞東京本社と背中合わせの日本劇場に出た。その日比谷通り向かい側のビルの地下が、目的のビアホールだという。

「あすから、9回目の日劇ウエスタン・カーニバルが開かれるんだ。この前、おれ観てきたんだ。すごかったよ」
 日劇の入り口前を通る時、2年生新人の小沢が興奮気味に声を上げた。

 このころ日本で初めてロカビリーが大流行し、東京の日劇には若者が1日に9千人も詰めかけた。岐阜育ちで流行に疎い志朗は知らなかったが、ロックンロールとヒルビリー(カントリー音楽の別称)を融合させた、ポピュラー音楽だという。ミッキーカーチス、平尾昌晃、山下敬二郎らが舞台狭しと熱演し、観客は興奮のるつぼと化した~と、新聞で読んだことを思い出した。
―――つづく=毎週水曜日に更新します

六月展

 6月4日~11日の期間において、Cスクエアにて写真研究部の展示会「六月展」が開催された。これは、中央大学写真研究部が毎年この時期になると行っている展示会であり、当紙面でも幾回か取り上げている。
 六月展のテーマは自由だ。被写体やカメラの選択から色調、プリント方法に至るまで制限はない。各部員が各々撮りたいものに取り組み、仕上げた作品が展示されている。
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あなたは大丈夫? もしかしたら〝隠れ肥満〟かも⁉

最近、間違ったダイエット方法などにより、見た目は痩せているのに体脂肪率が高い〝隠れ肥満〟の人が増えてきている。
 ごはんやパン、麺類などの炭水化物を控える「低炭水化物(ローカーボ)ダイエットが体重を減らす効果があるとして若い世代を中心に人気を博している。しかし、医療機関の間では「健康を損なう危険性がある」との声が強く、日本糖尿学会も推奨できないと提言しており、食育健康サミットでは栄養のバランスが乱れやすい同ダイエットの問題点を指摘する声が相次いだ。
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駿河台の記者たち㉘

駿河台の記者たち[28]

長瀬千年・作

 

中央大学新聞

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黄金週間が明けた最初の日曜日、新聞学会の新入会員歓迎会で、志朗らは上野から電車で埼玉県長瀞に向かった。新人は2年生2人と、1年生5人。対する現役は4年生の会計、3年生の編集長と取材部長、それに2年生1人だ。

「まだ入会して5日目。そのうち2日間は旗日だったんだよ。それなのに、遠出の歓迎会とは豪勢だね」
「これからは、忙しくて授業に出られないというから、おれたちを今のうち、甘い汁でつなぎとめようということなんじゃないの?」

 途中、熊谷で乗り換えた秩父鉄道の車内。制服姿の1年生の男が4人掛けの座席に収まり、入会したばかりの新聞学会について、あれこれ詮索(せんさく)している。同じ1年生でも女子1人の坂田は、新人の2年生2人の席で、何やら話し込んでいる。
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駿河台の記者たち㉗

駿河台の記者たち[27]

長瀬千年・作

 

中央大学新聞

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「2面のもう一本の依頼原稿、連載の『私の研究』はどうなっている?」
「法学部教授の田村幸策〈外交史〉で、もう届いてます」
「あぁ、我々の顧問ね。次回だったのか。内容は分かり易い?」
「まぁ、まぁです」
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駿河台の記者たち㉖

駿河台の記者たち[26]

長瀬千年・作

 

中央大学新聞


 次いで2年生の今図が▼安保阻止の5・14統一行行動に向け、昼・夜自治会の各討議内容とスケジュール▼青年像建立資金へ寄付1件(5千円)を報告した。

 青年像資金の寄付とは、 駿河台キャンパスの殺風景な中庭に、 シンボル像を建立するための学内キャンぺーン。始まったのは2年前、中大新聞が創刊500号記念で学生歌の歌詞を募集。1席入選の学生(法2)が賞金1万円を基金にし、募金100万円を目標に青年像の建立を呼びかけたのだ。

 最後は伊沙山。4年生らしく就職戦線の動きとして、人事部から得た会社説明会の日程だった。 さらに付け加えた。
「コラム『波紋』は、おいらが書くよ。テーマは、春のうららに揺れるわがキャンパス。大学移転計画も視野に入れた、一種の恨み節をね」
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