ソシャゲへの課金が身を滅ぼす?

読者の皆さんは、空いた時間になにをするだろうか。筆者が友人や兄弟に同じ質問をしたところ、回答の大半は「スマホのゲームアプリをしている」というものだった。現在、スマートフォンのアプリは数えきれないほどリリースされており、スマートフォン利用者やタブレット端末利用者であれば一切アプリを利用しないということはないはずだ。アプリというのは、業務効率化、ショッピングといったような、特定の目的に沿って最適化されたツールのことだ。その中には、ソーシャルゲームと呼ばれるジャンルのゲームアプリが存在しており、筆者も時間の空いた時には利用している。ここに述べたソーシャルゲームという言葉は、定義によると誤用であるが、プレイヤー間では「ソシャゲ」と省略した形で当たり前に使用される上、他の言葉では言い表せないため、以下においてもやむなく使用する。
ソシャゲは、2012年初期にリリースされた某パズルゲームを皮切りに、類似したものが続々とリリースされている。基本構造は似通っていて、プレイヤーがゲームの中のキャラクターやモンスターを育成し、アプリ製作者の用意した敵を倒したり、プレイヤー同士で戦ったりするといった内容になっている。この手のゲームには、他にも基本的に共通している点がある。アプリのインストール料金が無料であること、ガチャというシステムが存在していること、ゲーム内に課金要素があることだ。ガチャというのは、ゲーム内でのみ使用できるアイテムやキャラクターを、くじを引く要領でランダムに入手できる仕組みのことだ。また、ここで言う課金とは、ゲーム内のアイテムやキャラクターなどを手に入れるために現実のお金を使うこととする。前述のガチャは、現実のお金を一切使わずとも引くことができるが、その場合だと引ける回数に上限がある。しかし、お金を払い続ける限りは何度でもガチャを引くことができる。ガチャを引くためにお金を使うことも課金と表現できる。
大抵は家庭でしかプレイできないコンシューマーゲームとは別に、スマートフォンやタブレット端末に電波が届く範囲であれば、どんな場所でもプレイできるゲームアプリが人気を博した。これは大いに結構なことである。しかし、近年ではソシャゲの課金システムによる問題が生じている。支払い能力のない人が心ゆくまで課金をし、翌月に高額請求をされるというケースがあるらしく、しかも請求金額が数百万円に及ぶ場合もあるという。ともすれば、子供が保護者のクレジットカードを勝手に使い、課金することまで問題となっているというから驚きである。また、課金が原因で離婚に至る夫婦も存在しているようだ。
筆者の友人に、毎月家賃よりも高い金額をゲームアプリへ課金している男子大学生がいる。彼によると、「課金をやめたいとは思うが、どうやってもやめられない。借金をしてでも毎月課金することをやめないだろう」とのことだ。自分の支払い能力を超えて課金をしてしまう人や課金をやめられない人の中には、複雑な気持ちを抱える人もいるだろう。心理学の分野にサンクコスト効果(コンコルド効果)というものがあって、既に手元を離れた費用、時間、労力のことを考え、惜しむことで、合理的な意思決定ができなくなるという効果のことだ。課金をやめられずに悩む人々の内のいくらかは、この効果に支配されているのだろう。悩む人々の残りは、他のプレイヤーよりも有利にゲームを進めたい、あるいは並外れたゲーム内でのステータスを以て他者に見せびらかしたいという気持ちから課金を続けてしまうのかもしれない。
課金をやめられない理由を断言することはできないが、ともあれ、読者の皆さんがソーシャルゲームに課金する際には自制心を発揮し、適度なものとしていただきたい。度が過ぎると身を滅ぼすことになるかもしれない。

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