駿河台の記者たち㉕

駿河台の記者たち[25]

長瀬千年・作

 

中央大学新聞

8
 これに対し1年生は、 志朗も含めて詰め襟の学生服だから、いかにも自信なさそうに映った。 実際に4人とも、自分の名前と出身地を名乗るのが精いっぱい。 「青森の原田です」「富山の玉川」「群馬の塩野」「岐阜の流です」と、わずかに名乗っただけだった。だが、ブレザーにスカートのぽっちゃり型の女子は、「経済学部の坂田恵美子」のあと、さらに続けた。

「私、卒業後は新聞社に就職したい、と思っています。ですから、横浜の親元から通学はしていますが、必要があれば夜も終電まで皆さんと一緒にがんばります。よろしくご指導ください」
志朗ら1年生の男は出し抜かれた形で、いよいよ寡黙を続けるほかなかった。

 会員全員の自己紹介が終わると、そのまま編集会議に移った。10日に1回の次の発行日は5月5日だが、大型連休中で作業に支障があるため、 2ぺージ建てに半減するという。通常は4ページ建てで、1面と2面が学内ニュース、3面と4面が学生生活や学術文化の企画記事、と決めてあるらしい。

 次号の準備はすでに進んでいて、司会役の井多取材部長が各自の報告を求め、まずは大学当局担当の優内に振った。
「1面記事になると思うけれど、1つは由木村の大学用地の買収。1次契約が終了しました。2つ目は用地買収の関連で、総長の諮問委員会を設置。それに雑報で、経済学部教授のベルギー派遺だね」

 由木村とは都下南多摩郡。大学は現在の駿河台校舎が狭小のため、校舎拡充の用地を物色しており、由木村と用地約33万ヘクタールの買収契約をした。諮間委員会はその用地と将来の用地拡充を検討するため、柴田甲四郎総長が設置。学長や教授、OB会組織の学員会会長ら21委員を決めたというもの。

次いで井多自身が、 応援団員の暴力行為を報告。 4月末に大学の地下体育委員会室で、応援団員が入会を断った商学部2年の学生に、暴力を振るってけがを負わせ、被害者から警備課に届け出があった~という。

「そのあと応援団員は謝罪し、双方に示談は成立したんだがね。ただ収まらなぃのが昨年来、未公認の応援団の活動停止を、と求めている5者協議会(昼・夜自治会、学友会の文化・学術・体育各連盟)なんだよね。解説記事として、応援団再建案のそれぞれの思惑の違いをまとめようと思う」
 
 すると、優内編集長が提案した。
「いいね。もどかしい5者協の態度に、ピシャリとくさびを打つ意味で、論説で『五者協に早急な結論を求む』はどうだろう。論説はそれでいきましょう。井多さん、いいですか」

井多はOKし、さらに2件▼学友会体育連盟の相撲部主将、大塚範(法4)が、大相撲時津風部屋に入門▼関東アマボクシングでまず1勝、を出した。

―――つづく=毎週水曜日に更新します

Comments are closed.