前原誠司氏講演会「これからの外交・安全保障」

 10月17日、学術連盟政治学会主催で、民進党の前原誠司氏の講演会が行われた。講演会のテーマは「これからの外交・安全保障」である。

 冒頭、自身の出身校である京都大学や、中央大学の学費について触れた。そして「国が2・8兆円を捻出すれば、全ての子供達が教育を受けることができる」とし、民進党の公約である「チルドレン・ファースト」の本質を述べた。

 次に「日本が戦争に巻き込まれるとしたらどのようなケースが考えられるか」と問いかけ、講演会の本題に入った。聴衆の中から「北朝鮮が、米国や日本に向けて弾道ミサイルを発射したとき」という意見が出た。   

 これについて前原氏は、「何が自分達(日本)にできて何が自分達ではできないか、を意識して対応する必要がある」と答えた。すなわち、日本が保有している迎撃ミサイルSM3やPAC3の発動には、米国による情報供与が不可欠であり、「日本は基本的に米国による情報に依存している」とした。

 この件については、保有する情報収集衛星の数やその性能が、米国に比べて日本が圧倒的に劣っていることに触れ、米国が日本への比較優位姿勢を崩さないという「ビンの蓋論」を展開させた。

 また、尖閣諸島問題において日本がとるべき姿勢について、「警察能力を高めること」つまり「海上自衛隊ではなく海上保安庁による対応が適切である」と述べた。「自衛隊を待機させれば、向こう(中国側)に、攻撃のための口実を与えることになるため」と理由付け、稲田防衛大臣の大臣就任以前の発言を暗に批評した。そして、憲法解釈上「座して自滅を待つべき」ではないとして「敵基地攻撃能力」について米国との連携が必要だと述べた。

 話題は、北方領土問題に移り、1956年の日ソ共同宣言で、歯舞・色丹の二島引き渡しが規定されて以来、大きな進展がないことを問題視した。

 プログラムの終盤、質疑応答の時間に、今後の政治活動について問われると、「民進が自民とどう異なるのか明確にし、民進党が実現する社会像を打ち出す」と意気込んだ。

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