中央大学教員名鑑 法学部 古田 裕清 教授

古田 裕清(ふるたひろきよ)教授
【ご略歴】昭和61年京都大学哲学科倫理学専攻卒業、平成元年同大学院文学研究科哲学専攻(倫理学)修士課程修了。その後ドイツへ渡り、平成5年にミュンヘン大学大学院哲学科博士課程修了。平成10年より中央大学法学部専任講師、平成17年より現職。専門分野は哲学・倫理学。

 
 本学には、個性豊かな教員が多数在籍しており、日々研究に励んでいる。自分とは直接関わりのない分野を研究する教員のアドバイスや考え方が、将来役に立つかもしれない。
 
 本学の様々な教員にインタビューを行うこの企画、今回は法学部の古田裕清教授にお話を伺った。


―大学や大学院では、哲学を専攻したそうだが
「私が若かった頃には、自然保護問題、つまり公害や開発問題に関する意見が、活発に交わされている時代でした。私自身もそうした事柄に心を痛めていたため、最初は心理生態学を勉強していました。開発の抑止になるような根拠や客観的裏付けを得て、自然保護活動の一部を担えないかと考えたからです。しかしながら、やがてそういった動機に違和感を覚えるようになりました。自然を破壊するのも、自然現象を数学的手法で捉えて解析するのも、結局は全て人間業ではないか。そう考えるようになるに連れて、人間そのものに関心が移っていったのです。その結果として、『人間』自体をテーマとする哲学を専攻するようになりました」

―なぜミュンヘン大へ留学を
「ドイツの中で最も大きい大学の1つであり、また、いわゆる古典ギリシャ哲学から近代に至るまでの学説だけでなく、科学哲学の研究家たちも揃っていることが決め手となりました。留学によって様々な刺激を得られましたね」

―「人間の尊厳」や「生命倫理」を、研究の対象とした理由は
「そもそも中大は、東大や京大と違って単科大学の集合体です。いわば、一つ一つの学部が独立した大学のようになっていて、一般教養も各学部が自前で抱えています。こうした単科大学には、一長一短があると思うのです。
東大や京大のような大学は学部の垣根を越え、様々な分野に興味を持った人たちと机を並べて勉強出来ますよね。そのため、気軽に沢山の議論を戦わせることができます。それに比べて中大のような単科大学は、学部ごとに完結してしまっているので、一歩間違えると専門学校化してしまいます。しかし、こういった単科大学の短所も強みにできます。それは、一般教養の入り口を専門科目とリンクさせることが出来る、という点です。
たとえば、『法律は論理的に出来ている』と言われます。では、そこで実際に使われている『論理』とはどういうものかということを考える時、『法学部の専門科目である法律』というものと、『一般教養の論理学』とを、交差させながら学べますよね。このように法学部では、一般教養などについても具体的事象を取り上げながら説明することで、学生さんたちがより良く理解出来るようになると思うのです。こうしたことから、漠然とした『哲学』などとは言わずに、特にこれからの法学部生にとって身近であり、かつ考えを深めて貰わなければならないであろうテーマを取り上げたいと考えました。先程も述べたように私の本来の研究対象は哲学全般なのですが、こうした理由から『人間の尊厳』や『生命倫理』を研究対象にしている、としています」

―中央大学の学生に向けて一言
「初めから自分のレールを敷いてしまうのは、止めて貰いたいですね。そうやって自らの将来を狭めてしまうのではなく、自分の興味や関心に任せていろんな本を読み、それによって他にやりたいことが出来たとしたら、思い切って進路を変更するのも良いのではないでしょうか。極端な例ですが、大学を辞めたり放浪の旅に出たり、はたまた海外で協力隊に入ることもアリでしょう。本当にやりたいことがあるのなら、30歳くらいまでは自由に何をやっても構わないと思います。
何れにしても、あんまり早く自分を型に嵌めてしまわないことですね。勉強だけに限らず、後悔のない人生を送って貰いたいと思います」

Comments are closed.