波紋

12月1日、再来年春の採用に向けた就職活動が解禁された。2日からは学内企業説明会も始まり、キャンパスには連日リクルートスーツ姿の「シュウカツセイ」が溢れている。フレッシュな挨拶とハキハキした受け答え。大教室の後方で堂々とスマホをいじる姿勢の悪い人々はどこへ消えたのか。皆様の演技力には恐れ入る◆こんなに若者が必死になるのは、とにかく就活が恐ろしいからである。甘やかされてきた未熟な若者にとって、どう考えても過酷すぎるシステムである「就活」の意義と対策とを検証したい◆就活は辛い、と言われる。なんといっても何度も何度も突きつけられる不採用通知、つまり「あなたは要らない」のメッセージが辛い。これを何度も食らって落ち込まない人間は普通いないだろう。私などは一度失恋しただけで一ヶ月ロクにご飯が食べられなくなるのに、それが何十回と繰り返されるのは正気の沙汰ではない。NPO法人「自殺対策支援センターライフリンク」によると、就職活動をした学生のうち2割が活動中に自殺を考えたことがあるという。現代日本の就活はまさに命がけの苦行だ◆苦行といえば、こんな風習を思い出した。アマゾンの支流に住むサテレ・マウェ族の男子は、成人の儀式として世界一の毒を持つアリがびっしり入った手袋に両腕を突っ込むという。もちろんアリに噛まれて瀕死の状態になるが、その苦しみに耐えてこそ一人前の男になれる。若者が大人になる為に必要な命がけの儀式という点で、何処か就活と通ずるものがある気がしないか◆集団社会には、形は様々だが苦しみを伴う通過儀礼が存在することも多い。もちろん、だから就活はこの状態のままでいいと言うわけでは無いが、今すぐ変えられるものでもない。既に就活の流れに飛び込んでしまった大学生は、これは苦行なんだと割り切って心を守るしかないだろう。どうか頑張って生き抜いて欲しい。

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