波紋

2020年のオリンピック開催地が東京に決定した。滝川クリステルさんの「お・も・て・な・し」アピールも東京誘致に一役買ったに違いない◆しかし、日本の「おもてなし」は本当に優れているのだろうか。実際のところ、異文化への理解や配慮はあまり進んでいないように思う。その例としてまず挙げられるのが、イスラム教徒への対応だ。今まで日本はイスラム教徒に対し殆ど無関心だったのではないか。国内におけるムスリムへの食の配慮や礼拝所の設置も遅れている◆イスラム世界へ早く目を向けないのは大きな損失だ。ムスリムは世界人口の約四分の一を占め、貧困国も含めイスラム世界のGDPの年平均伸び率は13・9%に及ぶ。海外に旅行に行くムスリムも多い◆彼らの日本への印象は悪くなく、むしろ良いにも関わらずムスリムは日本に来ない。その理由として、ハラールフード(経典シャリアに則って「食べてもいい」物)のメニューがないこと、礼拝所がないことなどが挙げられるという◆そこで筆者は先日、不勉強ながらムスリム一日体験を試みた。といっても礼拝は省略し食事だけハラールで、という簡易すぎる計画だが、それでも困難を極める。都内で簡単な昼食を取るだけでも右往左往だ。ハラール認証(ハラールと専門機関によって認められた証)はおろか「ポークフリー」などの表示すら見当たらない。チキンサンドでも中にベーコンが入っていて慌てて取り除く始末。厳格なムスリムならばポークエキスもアルコールが微量入った調味料も駄目、その他様々な規定があるから絶望的である◆もちろん、完璧に対応するのは難しいだろう。しかし、ムスリムが決して許せないポイントもある。そこに配慮しないと不快感を与えかねない。ハラール認証は難しくても、せめて「ポークフリー」の表示があれば、「おもてなし」の気持ちが伝わるかもしれない◆オリンピック東京招致には賛否両論あるが、決定したからには良いものにしたいのは共通の思いだろう。「おもてなし」には文化の違う人々に配慮した工夫が不可欠だ。有言実行な日本でありたいではないか。

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