第3回 中大OB・OG訪問記 朝日新聞社 デスク 淺野 眞氏

 

淺野眞(あさのまこと)氏
【ご略歴】1990年、中央大学法学部政治学科を卒業後、朝日新聞社に入社。千葉県の京葉支局、千葉支局で計5年間、事件担当や行政担当として記者のイロハを学び、その後は主に東京本社で家庭・生活関係の記事を担当。現在は朝日新聞東京本社報道局文化くらし報道部・生活担当部長として生活記事のデスクワークや企画の立案を担当している。お酒と釣りが趣味。


 各所で活躍する中央大学の先輩方を訪問し、様々なお話を伺う「OB・OG訪問記」。

 第三弾の今回は、朝日新聞社で暮らし・文化部のデスクを務める淺野眞氏にお話を伺った。
 中央大学激動の時代を大学新聞の記者として過ごした淺野氏は、周囲に無関心な現代の若者への危機感だけでなく新聞記者という職業や新聞メディアのあり方など様々な問題について語ってくれた。

―なぜ中央大学を選んだのか
「政治・社会の分野に元々興味があり、質実剛健なイメージがあったことから、中央大学に決めました」

―学生時代について
「他県から2時間ほどかけて通学していました。そのためではないのですが、やはり1限を諦めてしまったことは何度かあります(笑)。一つだけ言えるのは、新聞学会の活動に一生懸命だったということです。当時は、漸く学校側とサークル統一会議とで和解が成立したばかりで、学内の歴史の転換期でした。また、私は昔から新聞に興味があり、その編集が特に好きだったということもあります。新聞編集のために夜まで学校に居て、友人宅に泊まるということもしばしばありました」

―デスクの仕事内容について
「主なものは、記者の管理と記事のチェックの二つです。記者の管理とは言いましたが、そこまでタイトに管理している訳ではなく、僕は期日までに記事が出てくれば良いと思っています。仕事自体は、毎回百点ではなくていいのです。取り敢えず70点程度を取ってくれれば、その草稿をより精度の高いものへと磨いていくのが我々の仕事ですからね。その他には、企画を通すというのも私の仕事です。何故その企画を選び、記事を通して読者に何を伝えたいのかということを、いつも部下には尋ねています」

―新聞というメディアの役割について
「一言でいうと、権威の監視と、有意義な情報の発信です。権威の監視という面で例を挙げると、朝日新聞社はリクルート事件や偽装請負の事件を最初に指摘しました。これはまさに、権威の暴走を監視し、暴いたものです。有意義な情報の提供という面については、当社では『調査報道』を担当する特報部というものが主に担っています。そのコンセプトは、如何に短く、わかりやすく報道するかというものです。池上彰氏のように、分かりやすく伝えるのが新聞の役割だと考えています。その一方で、偽装請負の一件のように、一過性の記事を深くまで掘り下げて問題の核心を突くことも新聞の役割としてあげられるでしょう」

―電子化に関して
「朝日新聞社もデジタル化をしていますし、ニュースを伝えるという方針は変わりません。そのため、移行していくことに対してそれほど抵抗はありません」

―生活面とは新聞の中でどのような位置づけか
「生活面では、生活のちょっとした変化をすくい取ることで、四つの情報を発信することが大切だと考えています。まず、『暮らしに長期的に役立つ情報』です。これは倫理や道徳に関するもので、生や死に関するものが分かりやすいですね。そして『中期的に役立つ情報』も挙げられます。これは、今すぐに必要ではないが、将来必要となるであろう知識に関するものです。さらに『すぐに役立つ情報』もありますよ。例えば、料理や家事に関するものを想像して貰えればすぐに分かるでしょうか。最後に、『共感し、ほっとする情報』も不可欠です。これは、読者の方々に、私だけじゃない、とか、そうだよね、と思って貰うことによって、自分一人だけが悩んでいるのではない、と感じて貰いたいという趣旨のものです。これらの四本柱をもって、読者の生活に資する記事を掲載するのが生活面ですね」

―今の若者に対して一言
「今の若者は、基本的に他人に興味が無さすぎるように思います。例えば、何処に居ても携帯をいじりながら音楽を聴いているというのは、社会に対する目と耳と手を遮断していることになります。それでは、社会のちょっとした変化をくみ取る感性を養うことは難しいのではないでしょうか」

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