ディビッド・ウォレン駐日英国大使講演会


 10月19日、ディビッド・ウォレン駐日英国大使による講演会が本学8号館にて催された。

 《大使プロフィール》
1952年、ロンドン生まれ。オックスフォード大学エクセター・カレッジ英文学専攻。1975 年、外務省入省。日本ならびに東アジア情勢を主に担当。1991年からの2 年間、内閣府科学技術庁に国際部長として出向。2008年7月より現職。

 『国際関係の重要性~日本と日本国民がより国際社会で活躍し繋がるために~』と題した今回の講演では、初めに、今日あるべき国際関係の姿について語られた。我々の生きる現代では、グローバル化が進行し、膨大な量の情報が溢れている。自由に世界を旅行出来る事に加えてインターネットの普及もあり、情報共有は以前の時代より更に容易になされるだろう。しかし、その一方で、外交において、国家が国際関係から目を背けてナショナリズムに走り、馴染みのある国内の問題のみに従事する、という逆説的な傾向がある、という事も指摘された。氏によると、第二次世界大戦は、このナショナリズムの台頭が一要因であったとの事だ。各国が、外交の主たる目的である国益追求を抑制し、国際的協調の枠組みを構築していくのは骨が折れる事であるが、地球温暖化や核の不拡散といった、広い地域に跨る諸問題の解決には、国際的枠組み構築が不可欠であるという。

 そして、36年間日本を担当してこられた大使の外交官としてのキャリアから、日本の役割と今後の課題についても語られた。氏は、国連安保理において、日本も常任理事国入りすべきであるとする。65年前と比べ枠組み自体に大きな変化が生じた事を踏まえ、当時より力を持つようになった日本が国際政治のガバナンスに関与する権利を有するとの事だ。また、日本が死刑存置国である事、国際的な子の奪取の民事面に関する条約を含む、ハーグ条約を批准していない事、等を問題として挙げられ、日本に渡航した英国人の安全を守る英国大使としての立場からも、日本が国際的価値観に基づく法的枠組みに一刻も早く参加する事を強く望む、と語られた。
 
 最後に、昨今の日本の「内向き」の傾向にも言及され、「日本は文化、技術、また、今回の震災に際する努力と忍耐の姿勢を世界から尊敬されており、自信を持つべき」と力強く鼓舞された。

(瀨)

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